2009.05.24 コラム

科学の限界を補完する

神話の時代、宗教の時代、思想哲学の時代を経て、この時代の文化文明を牽引するようになった科学は、現代社会における重要な問題解決の道具にもなっています。

しかし多くの人々は科学を理解できず、それどころか科学へのアプローチさえも困難であるのが現実です。知識人さえも科学からだんだんと遠ざかって知識格差や技術格差が生じており、それが文化文明の分離格差の原因となっています。さらに科学者間でも、自分の専門分野外の科学の内容に対して全く理解できないという傾向が酷くなる一方ですから、科学専門家同士の意思疎通すら不可能な状態を引き起こしています。

現代社会において、科学はより一層重要なポジションをとり、その内容はどんどん細分化、専門化されて複雑な方程式を要する分野が増えています。そんな中、一般知識人は、理解はもちろんのこと、科学にアプローチする心さえ生まれない状態ではないでしょうか。一般的には、映画や音楽、文学や芸術などのエンターテインメントには関心を持って理解に努めますが、科学知識に対しては理解しようともしません。それどころか、科学知識に対する無知や無関心を恥ずかしいとも思わないのが当然で、逆に、それを人と仲良くなるためのコミュニケーションの道具に使うような傾向がこの時代の特徴でもあるのです。

なぜ有名人を知らないことや、流行に対する無知や無関心は恥ずかしく思い、科学に対してはそう思わないのでしょうか。その理由は何なのでしょうか。それは、科学が人間の心と全くつながらない世界、すなわち人間的な感情、意味、価値、論理とは程遠いものであり、人間と分離独立した客観的物理対象の変化を記述し表現する学問であると標榜しているからではないでしょうか。

一言で言えば、科学的認識方式の限界が、一般知識人や大衆の無関心や無知をつくる原因なのです。その科学的認識方式の限界を補完し、存在の基本単位と認識の基本単位を統一させ、科学の客観性の限界と思想哲学の主観性の限界をも超えた、「次元上昇した統合認識学問」としてHITOTSU学を提案しているのです。

この時代の解決しなければならない課題の中の一つが、科学的認識方式の限界を明々白々に理解し、それらがつくる多様な問題を整理整頓することです。そしてその問題がつくる危機を突破できる新しい統合学問、新しい認識方式を世界の人々に普及することなのです。なぜなら、意識現象の一部分のみを語る既存の科学的な認識の仕方は、人間の本質的な問題を解決するための参考にはなりますが、最後の答えを導き出すことは不可能だからです。

私は5次元認識テクノロジーを道具として、この時代の世界観・価値観の根底に横たわる科学的な認識の仕方がもたらす問題と真正面勝負し、科学の限界を補完する認識革命を提唱しているのです。