2014.02.10 コラム

メタ教育サービス産業が、この時代のパラドックスを解決する

人間が皆、昨日より今日がもっと幸せ、今日より明日がもっと幸せというように、持続的な感動、幸せ、成功の人生を送ることができない根本原因とは一体何なのでしょうか?
人間が皆、尊厳溢れる生き方ができない根本原因とは一体何なのでしょうか?

このことに関連して、今私たちが住んでいるこの時代がどのように変わったのか、インターネット上に、この時代のパラドックスに対する表現があったので、その一部を皆さんと共有したいと思います。

建物は高くなったけど、気は短くなっている。高速道路は広くなったけど、視野は狭くなっている。
(The paradox of our times is that we have taller buildings, but shorter tempers, wider freeways, but narrower viewpoints.)

所有するものは多くなったけど、価値は減っている。
(We have multiplied our possesions, but reduce our values.)

収入は高くなったけど、道徳は低くなっている。
(We have higher incomes, but lower morals.)

月へ行き来できるようになったけど、道の向こうにいる新しい隣人に会うことは難しい。
(We have been all the way to the moon and back, but have trouble crossing the street to meet a new neighbor.)

宇宙を開拓することはできたけど、私たちの内面世界はいまだに無関心の領域だ。
(We’ve conquered outerspace, but inner space is still a mystery to many of us.) 

空気を浄化したけど、霊魂は汚染され、原子を分裂することはできたけど、偏見を壊すことはできない。
(We have cleaned up the air, but polluted the soul; split the atom but not our prejudices.) 

専門家は増えたけど、問題はより多くなっている。
(more experts, yet more problems)

薬は増えたけど、健康状態はより悪くなっている。
(more medicine, but less wellness)

このように科学技術が発達しても、この時代の問題はより増えている現状です。
この時代の資本主義とは、問題を提起し、それらを解決する科学技術ソリューションを開発し、新商品を製作、販売することで利潤を蓄積することです。

例えば、白黒テレビしかなかった時代に、「なぜ白黒しか映らないのか?カラーのテレビが見たい」と問題提起をし、カラーテレビの技術が開発され、カラーテレビが商品化されました。有線(固定)電話しかなかった時代に、「歩きながらでも、バスに乗りながらでも電話できる方法はないか?」と問題提起をし、携帯電話の技術が開発され、商品化されました。
そのようにして、これまで人類は多様な問題提起と商品化、そして飽くなき利潤追求に走ってきました。そして感動や幸せや成功を得ようとしてきました。

しかし今、この地球上は貧富の格差、少子高齢化、青年失業率の増加、環境汚染など多様な社会問題が山積みの状態です。
法律や制度やシステム、あるいは科学技術のイノベーションでは、この時代の複雑化、巨大化した問題を解決することは不可能です。

これらの問題を解決するための突破口は何でしょうか?
それは、何が本当の問題なのか、問題の中の最も根本の問題をDefine(規定)することです。
人文学における「人間とは何か?」、社会科学における「社会とは何か?」、自然科学における「自然とは何か?」、政治経済学における「政治、経済とは何か?」といった問題提起では、この時代の問題を解決する明確な答えはきません。
今までの問題提起を次元上昇させた、問題のDefine能力が未来価値、未来決定能力につながるのです。

観術では、あらゆる問題の根本を“観点の問題”とDefineしています。
人間の特徴的な機能は他の動物と違って「考える」ことですが、今までの教育が案内するあらゆる認識方式・理解方式・思考方式はすべて、“脳を使う”という大前提があります。私たち人類はこれまで当たり前のよう5感覚の脳の機能を中心に使って考え、行動してきましたが、その大前提が変わらない限り、現実の様々な問題を根本から解決し、Win-Win、All-Winの未来文明をつくることは不可能なのです。

なぜなら人間の脳の機能は、①部分だけをとる ②違いだけをとる ③過去とつなげてとる ④有限化してとる、というクセがあります。これは言い変えると、脳の機能自体が、①全体を認識できない ②共通点を認識できない ③今ここのありのままを認識できない ④無限を認識できない、という不完全さを持っているということです。

それゆえに、「自分が何者なのか」「この宇宙自然はどんな仕組みで成り立っているのか」「生きる意味、価値とは何なのか」「人間はどこから来て、どこへ行くのか」などの問いに対して明確な答えを得ることができず、「何をどのように考えれば良いのか」の思惟思考のモデル(模型)を得ることもできないまま、誰かの真似するか、あるいは意思決定を他人に委ねるかしかない状態になっているのです。

また脳に観点が固定された状態では、この現実世界を成り立たせている客観的絶対世界が何なのかの答えもわからないので、現実世界の因果論に束縛され、無条件の心の自由を得ることは難しいでしょう。
また本当の自由意志による選択ができず、ただ条件反射レベルの選択しかできません。特に日本人は主義主張できず、考えや感情を整理することもできず、自分が何をやりたいのかさえわからないという人も多い現状です。
 
歴史や文明を洞察してみると、人間一人ひとりのバラバラな判断基準や価値観を統率して社会や組織の秩序を保つために、これまで暴力や財力や権力によるハードパワーで無理やり人を従わせてきましたが、それももう限界ではないでしょうか。

これらの問題を根本から解決するためには、5感覚の脳の不完全さを補う新しい感覚をつけることが必要です。
それはイメージ感覚、心感覚であり、それを得る方法がイメージ言語という新しい道具を活用して脳の観点固定を解除し、観点の移動・次元上昇を案内する観術です。

観術はすべての学問を統合するメタ知識でもあります。
観点の移動・次元上昇を通して、人間の初期設定されたハードウェア運営体制をアップグレードさせることを「認識革命」と言っています。人間一人ひとりにその認識革命を案内することができる「メタ知識・メタ教育」と、認識革命が起きた人たちが連帯して情報化社会の新しい協力関係を構築する「場」は、現実的な社会問題を解決し、未来を決定する影響力を持ったインパクト経済を生み出すことができます。
 
世界は軍事戦争、経済戦争のパラダイムから、教育戦争へとパラダイム転換していくのは間違いありません。
メタ知識・メタ教育による新しい教育サービス産業を創出し、哲学的自立を完璧に成し得ることができた悟った人を量産する仕事こそ、時代の危機を突破する日本のミッションだと私は確信しています。その道は、日本の文化文明の素晴らしさを存分に生かすことができる道でもあります。
日本はこの危機をチャンスにひっくり返すことができる底力をもっています。ぜひ一人でも多くの日本人に、そのことに気づいてほしいと願っています。

Noh Jesu