2017.04.08 疑問・お悩み解決

教育担当者必見!「企業が狙っている人材」と「学校が輩出する人材」にはどんな格差があり、どう解消すればいいですか?

こんにちは、編集部の西勝です。春、新生活のスタートですね。
企業の新人教育担当・経営者の方、また大学のキャリアセンターなどの方は、「今年度の教育方針」を元に、新人教育や就職活動に向けて動く時期だと思います。

ところで、その方針の中には「社会人としての心構えを身につける」といった項目がありませんか?
「うん、あるよ。毎年ある」という方へ、少し視野を広げて考えて欲しいのですが、これは「学生と社会人の間には、何らかの格差がある」という、大前提の共通認識があるから生まれるものだといえますよね。

そこで、編集部では1つの疑問を持ちました。企業が狙っている人材と学校が輩出する人材には、どのような格差があるのでしょうか?

明確になっているようで、なっていなかったこの問題。これを解消できれば、企業や学校の人材育成に多大な貢献ができること間違いない!とニヤニヤしながら、世界で活躍する次世代リーダーを数多く輩出されているNohさんに聞いてみました。

企業が狙っている人材とは?

西勝
Nohさん、今日もよろしくお願いします。
早速なのですが、企業が狙っている人材と学校が輩出する人材には、どんな格差があるのか知りたいです。まず、企業が狙っているのはどのような人材なのか、教えてください。
Noh
質問、ありがとうございます。
企業が狙っている人材は、全体の脈絡を把握し、問題を発見する能力を持っている人です。さらに、チームプレーで問題を解決する能力、周囲をモチベートする能力や、お互いの意見が衝突した際に、意思決定能力等を持つことのできる人材を求めていますね。
西勝
なるほど。私も当時の上司から、クライアントの一歩先を考えろと言われていました。
相手が求めている課題意識・潜在的なニーズを掘り起こし、それを共に解決するパートナーとなれ、と。

これが問題発見能力や問題解決能力ということでしょうか。

Noh
そうですね。そのような能力を持った人材は、学校を卒業してすぐ現場に投入されたとしても、自分の意見を持った状態で問題発見をすることができます。新入社員の新鮮な観点から課題を発見し、新しいアイディアを入れることで、課題をチャンスにひっくり返すことができるのです。

問題発見能力および問題解決能力と、意思決定能力を持ったチームプレーの達人。企業はそんな人材を求めていますね。

学校が輩出する人材とは?

西勝
一方、学校はどのような人材を輩出しているのでしょうか?
Noh
学校では、問題発見能力よりも問題解決能力、つまり正解を発見する能力を優先して教育します。
そのために暗記をさせ、それができたら○(マル)、できなかったら×(バツ)というように判断していきます。

そうすると、自分の給料にしか関心がない人材(Labor)や、指示だけに関心がある人材(Task)、自分で役割を決めつけて、その範囲内の仕事だけしかしない人材(Job)が輩出されるのです。

西勝
自分も学生時代、先生から○をもらうために暗記をして、与えられた問いに答える事ばかり習慣にしていました。ですから、その問い自体に疑問を持つ事はなかったですね。
そのため社会人1年目は、上司の指示や、その指示内での役割にしか関心を持つことができず、先輩からよく指摘されていました。
Noh
まさにTaskとJobの状態ですね。学校を卒業してからの基本的な働き方は、この段階にあたります。

なぜ学校が輩出する人材は、企業が狙う人材と異なるのか?

西勝
しかし、なぜ学校が輩出する人材は、企業が狙う人材と異なってしまうのでしょうか?
Nohさんはどのような原因があるとお考えですか?
Noh
進化発達するイノベーションのスピードが、企業と学校とでは全く違うことが原因です。

企業の経営者は競争に負けてしまったら倒産、自分の人生が終わります。しかし学校のトップは、安定的に給料がもらえてしまう。この環境格差が一番大きいですね。

西勝
確かに、人生をかけている経営者と、安定的な給料をもらっている教育者と比較すれば、働き方の段階に格差が起きる事もよく分かります。自分も一般企業から学校法人へ転職した経験があるのですが、そこでは仕事の流れがゆっくりしているように感じました。
Noh
また、10年・20年前から学生たちに教えていた内容を、今でも講義している教授が多いのではないでしょうか。
彼らはかつて、問題解決能力を養い、暗記して○や×をもらい、さらに暗記を重ねた結果として現在のポジションに就いているので、自身が学んだ過去の内容をベースとした講義スタイルが多いのです。

どのような格差が生まれ、どんな問題が起きるのか?

西勝
学校と企業では、大きく格差が広がっている事を理解できました。
では、どのような格差が生まれているのか、一旦まとめていただけますか?
働き方革命 11 段階

  • (1)Labor :給料のことだけに関心がある段階。指示が来ても適当にやる。
  • (2)Task :指示されたことだけをやる段階。
  • (3)Job :自分の役割を決めつけて、その範囲内の仕事だけをやる段階
  • (4)Work :課題に関心を持って働く段階。
  • (5)Professional :あるパートに関してのみ解決策を持って働く段階。
  • (6)Business :課題解決を通して利益を創出するパターンを持ち働く段階。
  • (7)Duty :仕事への義務感・責任感を持ち働く段階。
  • (8)Mission :仕事そのものが楽しく喜び・感動溢れる段階。
  • (9)Vocation :自分の喜び・感動だけではなく、その仕事に関わった人すべてに感動の連鎖が起きる段階。
  • (10)Calling :時代や仕事に呼ばれた無我状態、エクスタシー状態で働く段階。
  • (11)Dignity :世界の根源と繋がった問題解決パターンを、自由自在に活用しながら働く段階。
Noh
上の「働き方革命 11 段階」をご覧ください。
学校が輩出する人材は、暗記をさせ、それができたら○、できなかったら×という風に教育しますから、(1)Labor や(2)Task 、(3)Job 状態です。

しかし企業側にとっては、狙っている人材がその段階で止まっていると困るわけです。
少なくとも問題発見ができる(4)の Work ができることが必要ですし、解決策を持って働く(5)Professional 、課題解決を通して利益創出するパターンを持つ(6)Business 、仕事に無限の義務感や責任感を持てる(7)Duty 、仕事そのものが楽しく喜び・感動に溢れる(8)Mission 、さらには自分の喜び・感動だけではなく、その仕事に関わったすべての人に、感動の連鎖が起きる(9)Vocation くらいまでが、一流企業が狙っている人材といえます。

西勝
これだけの格差が起きていれば、狙っている人材がいない…と、人事の方が嘆いているのもよく分かります。
Noh
そうですね。
また、グローバル競争が本格化していく中、企業は早いスピードで競争力をアップグレードさせないと生き残れない時代です。

そして大きく人類全体を考えた場合、AIとの競争まで起きている今日に、社会へ輩出する人材を学校側が今まで通りのやり方で育てていたのでは、人間とAIの格差は広がる一方です。

問題の根本原因は何か?

西勝
AIとの競争…確かにこれからは、人間同士の競争だけではなく、IQ10,000をも超えるAIが生まれるわけですから、暗記教育で得た人間の理性・知性・感性は、ディープラーニングによって簡単に淘汰されていきますよね。

既存の概念では、企業と学校の人材輩出の格差も埋められず、AIとの競争にも太刀打ちできないと思うのですが、この問題の根本原因を教えていただけますか?

Noh
AIについてはこちらの記事をお読みいただくとよく分かると思いますが、認識のイノベーションが必要不可欠な時代です。

企業組織・学校組織のチームプレーが活性化するには、全員が共通の土台を持って、相互作用を活発にすることが必要です。
そのためには、お互いの観点の限界を超え、観点の外に出た状態からイメージの共有や主義主張の伝達ができる事が大切です。

しかし現状はそれが難しいですね。なぜなら、人間は5感覚脳を通した主観的な独断からくる“経験認識”を用いているからです。
問題の根本原因はここにあります。

西勝
経験認識…あまり普段、聞かない言葉ですね。詳しく教えていただけますか?
Noh
経験認識とは、人間5感覚脳を通してインプット・アウトプットすることで情報データを蓄積し、認識している、主観的な独断状態のことです。

“経験”は過去に縛られているものですよね。そして、過去とつなげて取るのは脳のクセです。
つまり、これは過去に縛られた認識なので、お互いの観点の限界を超えられず、イメージの伝達や共有もできないのです。

西勝
なるほど、企業も学校も、共通点として経験認識をベースにしていたから問題が解決されなかったのですね。

経営者や人事担当の方も、研修を受けさせても効果が長続きしないと悩んでいた理由が、この経験認識を当然としていたからだということが分かりました。
研修を受ける側も主観的な独断で受け取っていたから、イメージの伝達と共有が不可能だったのだと理解できます。これではチームプレーも活性化しないですね。

Noh
はい。さらに言えば、AIのディープラーニングは、経験認識でインプットする容量が人間の脳をはるかに超えており、人間以上の高速処理や共有も可能なレベルです。

つまり、経験認識を用いたチームプレーでは、AIに負けてしまうのです。

西勝
まさに、人間は何をするんですか?と、AIに問われているようですね。

根本原因を解決するメタ認識“先験認識”

西勝
人間5感覚脳からくる主観的独断の“経験認識”が、格差の根本原因であることを理解できました。
詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。

では、この根本原因を解決するためには、どうすれば良いのでしょうか?

Noh
ゼロ感覚を通した客観的理解からくる “先験認識(概念認識)”、この新しい認識を用いたチームプレーが解決策です。
西勝
こちらも、あまり普段聞かない言葉ですね…詳しく教えていただけますか?
Noh
先験ですから、経験する前の基準点を先に持つことです。
人間5感覚脳を基準点とした主観的な思い込み・独断ではなく、それを客観的理解にさせるための基準点をベースとした認識です。

もう少し深いところまで伝えるなら、世界の根源から物事を観るということです。
時間もない、空間もない、存在もない。そこから時間・空間・存在がどのようにできているのか、エネルギーはどうやって生まれるのか、そのエネルギーを認識する心の世界です。

エネルギーを認識する心と、エネルギーはどう関係があるのか。エネルギーの結び方が、この現象とどうつながっていくのか。そんな世界全体が一気に統察できる、客観的観察を通して理解できる認識。それを先験認識と伝えています。
まさに、人間のディープラーニングの領域ですね。

経験認識は主観的独断の世界なので、イメージの伝達や共有ができませんが、先験認識は客観的理解が可能なので、お互いの観点の外に出て、イメージの共有や主義主張の伝達が可能です。

西勝
先験認識を用いたチームプレーが可能になれば、企業と学校の格差をなくすことができ、新たなイノベーションができますね!

最後に、この先験認識によってどのような能力アップにつながるのか、具体的に教えてもらえますか?

Noh
まさに企業が狙っている人材である、(5)Professional 、(6)Business 、(7)Duty 、(8)Mission 、(9)Vocation 、さらには(10)Calling 、(11)Dignity といった人材育成が、誰もが理解し共有し持続可能な状態になります。

具体的には、問題発見能力と意思決定能力を最大限伸ばし、意思決定の原理を理解した、チームプレー創出を可能とした組織を作ることができます。

また、先ほどもお伝えしましたが、今までの経験認識ではできなかったイメージの伝達・共有も可能になりますし、自分の判断基準に固執した関係性を超えて、場・エネルギーを起点とした関係性から生まれる、アイディア創出や組織運営が可能です。
ぜひ、関心を持ってもらえれば幸いです。

西勝
大きな世界が広がっていきそうで、楽しみです。
興味を持たれた方は、NR JAPAN主催の「Industry5.0セミナー」に参加してみてはいかがでしょうか。

私もさらに活用していきたいと思いました。ありがとうございました!

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いかがでしたでしょうか?

企業が狙っている人材と学校が輩出する人材には大きな格差がありま が、「経験認識」からくる教育をしているという点では共通していたのだという事と、それを解決するための「先験認識」について語らせていただきました。

ぜひ興味を持っていただき、「来年度の教育方針」には、新しい人材育成の骨組みとして、活用してくだされば幸いです。