2012.09.05 コラム

新卒ニートを救う産業

8月28日の日経1面で「新卒ニート3万人」の記事が掲載されました。2012年3月に大学を卒業した56万人の学生の内訳は、大学院などへの進学者11.8%、正規の就職者60.0%、就職も進学もしていない15.5%、非正規雇用やバイト7.4%、その他5.3%となっており、約3割の学生が就職できないという厳しい社会の現状を映し出しています。

就職も進学もしていない15.5%(約8.6万人)のうち、進学や就職の準備もしない約3万人が「ニート」として認識されていますが、学生の立場に立って見ると、今の社会はどう映るのでしょうか。

子どもの頃から「あれをしてはいけない」「これをしてはいけない」と制限されることが多く、学校の勉強には必ず「正解」が存在し、運動会や学芸会でもみんな一等、みんな白雪姫と、競争を極力排除した教育現場の中で育った末に、初めての就職活動では必ずしも正解のない社会で生きていく為の能力を求められ、急に競争をさせられ、多くの企業から自己の存在を否定された結果、内定を得られなかったとしたら、自分自身の存在をどう思うようになるのでしょうか。

「自分はこの社会から必要とされていないのではないか?」そう考えて鬱になり、自殺する若者も少なくありません。

欧米の先進国では若者の雇用喪失が問題になっており、政府や自治体からすると失業保険や生活保護など雇用がない為に支出は増える一方で、働き手の減少により税収はダウン、結果収入減+支出増で赤字となり、赤字が続くことで国家財政が破綻する危機にまで直面しています。

この夏もアメリカでは3つの市が連邦破産法9条の適用を申請しましたが、新しい産業と雇用を創出できない限り、財政破綻の危機はあらゆる国家でくすぶり続けます。

では、今の日本にはどのような産業と仕事が必要なのでしょうか。

マズローの欲求5段階説の下層(生存欲求、安全欲求、所属欲求)はある程度満たされ、大衆のニーズも認定欲求、自己実現欲求へと進化発展しています。その認定欲求を埋めるように携帯ゲームやソーシャルネットワークなどが流行し、自己実現欲求に応える成功哲学やハウツー本が書店でも増えてきていますが、本当にこれらの商品・サービスで根本的な問題は解決されているのでしょうか。

震災を機に「絆」や「つながり」といったことが重視されるようになりましたが、産業能率大学の調査(2011年)によると会社員の61.4%が職場で孤独を感じることがあると回答しています。

会議や打ち合わせはあるけれども相談や雑談は減り、同僚との関係も疎遠になるなか、気付いたら今日も誰とも話さなかったという無縁社員が静かに広がっている現状を、私たちはどう認識すればよいのでしょうか。

同調査によれば職場で孤独を感じる原因の第1位は「自分のことしか考えていない人が多い」から。振り返ってみると、原発処理の問題やマスコミの対応、現場を無視したかのように政局に走る政治家の在り方なども皆、同じ理由が当てはまるように感じている人は少なくありません。

人間のエゴが争いの原因であれば、人間の精神性を進化させる産業「悟りの産業」「和の産業」こそが、今の日本にとって最も必要な産業です。

日本の底力である「和心」と繋がって、人間の精神性を進化させ、意識のイノベーションを実現する産業をゼロ次産業と位置付け、真の教育を輸出産業に育て上げる政策が、今の時代に求められていると感じています。

21世紀の新しい生き方である「和の産業化」については、毎月のHITOTSU学 公開講座で詳しい話をしておりますので、ご興味のある方は是非お越しください。

自分の存在に価値を見いだせず、生きる気力さえ失ってしまった日本の若者に、生きる希望を取り戻し、世界を立て直す日本をプレゼントできる新しい産業を、共に創造してまいりましょう。

Noh Jesu